見つけてくださってありがとうございます。
映画化されて話題になっている「近畿地方のある場所について」をネタバレ考察してみました!
また、どこで無料で読めるかなどを調べてみました。
「近畿地方のある場所について」とは?
- タイトル:近畿地方のある場所について
- ジャンル:ホラー、モキュメンタリー
- 著者:背筋
- 出版社:KADOKAWA
- 掲載サイト:カクヨム
- 発売日:2023年8月30日
「近畿地方のある場所について」は、三つの怪異とカルト教団が複雑に絡み合うストーリーです。
消息を絶った友人を探すために「私」がメディアやインターネット、雑誌などから集めた断片的な情報をもとに構成されています。
書籍化、文庫化、漫画家、映画化され、今もなお「呪い」が広められています。

三つの怪異とカルト教団
※注意:ネタバレ有
山へ誘うモノ
「まっしろさま」「ましろさま」「ましらさま」と呼ばれる。
白く大きな猿の姿をしているといわれ、繰り返し言葉で女性を山へ誘う。
ときには男性を操り、その男性を使って女性を山へ連れ込むこともある。
身代わりを差し出せば助かるとされ、かつては祠に祀られた「御神体石」によって封じられていた。
しかし、カルト教団がその「御神体石」を盗んだことで、呪いが再び拡散されてしまった。
「ましらさま」の始まり
明治時代、とある村に「まさる」という男性がいた。母親を失い、孤独から奇行に走った。村の風習「柿の木問答」(男女が初夜の合意を確かめるため、男性が「柿の木あるか?」と尋ね、女性が「ある」と答えれば実を取ってよいという風習)を誤解し、村中の女性に声をかけ続けたため気味悪がられ孤立。
ある夜、近所の女性が殺され、まさるの畑から血の付いた石が見つかる事件が起き、まさるも石に頭を打って半死状態で死亡した。
その後、村人はまさるを祀るため祠を作り、「御神体石」を本尊として「まさるさま」と呼んだ。
そして、子供たちにむごたらしい話を伝えないため、猿の神様「ましらさま」として言い伝えられるようになった。
まさるは奉られて敬われていくうちに、自分は神様だと思い、怪異となった。
そして、忘れられそうになると悪さをして、存在を示す。
赤い女
赤いコートを着た姿で現れ、「ジャンプ女」とも呼ばれる。
誰かに見つけられたがっており、インターネットなども使って呪いを広げる。
かつて、息子・了(あきら)が首吊り自殺を図り、その姿を見つけた彼女は必死に手を伸ばしてジャンプした。
そして、カルト教団が盗んだ「御神体石」をさらに盗み、自宅の畳の下に隠し、息子を蘇らせる儀式を行った。しかし、失敗してしまい、蘇ったものは悪魔だった。そして「赤い女」自らも怪異となった。
現在は、了への供物を探し続けている。
了(あきら)
赤い女が呼び出した命を吸い取る悪魔。
近寄っては来ない。
生き物を飼えば助かるといわれている。
カルト教団「スピリチュアルスペース」
1991年頃に設立された新興宗教。
教祖を持たず、「宇宙そのもの」を信仰対象としていた。
信者は女性のみで構成され、山のふもとやダムの近くなど、辺鄙な場所にある施設に通い、ヨガや瞑想を通じて「宇宙の真理」に近づく修行を行っていた。
「御神体石」を祀り、謎の呪文を唱えていた。
ましらさまが女性を集めるために設立させた可能性がある。
「近畿地方のある場所について」の年表
時系列を簡単にまとめてみました。
1950年
まさるの「御神体石」を祀った祠がある村にダムが作られ、住民が減少。
徐々に忘れられていく。
1984年
2月、奈良県で小学2年生のAちゃんが学校帰りに失踪。自宅までわずか40メートルの間で姿を消し、目撃者もなく、家や周囲の侵入痕もなかった。
Aちゃんの失踪から2か月後、親族(父方の叔父Mさん)が自殺。遺書などはない。Mさんは事件現場近くのダム管理に関わっていた。
さらに夜に廃れた山間部でAちゃんらしき子供を見たという複数の目撃情報もある。とあるトラック運転手が声をかけると、その子供は「お嫁さんになった」といい、森の中に消えて行った。
1987年
子供たちの間で「まっしろさん遊び」が流行。
あるマンションの子供たちだけが遊ぶ秘密の遊びで、大人や地元の子は参加してはいけない。鬼ごっこに似ており、4~6人ほどで始め、男女に分かれる。
男の子はじゃんけんで負けた子が「まっしろさん」となり、女の子を追いかけて捕まえる。他の男の子は捕まえる手助けをするが、女の子に触れることはできない。
捕まった女の子には「身代わり」を渡す義務があり、消しゴムや靴下など内容はその時々で異なる。女の子が身代わりを渡すまでは遊びは終わらず、口もきいてもらえない。何時間、何日かかろうとも身代わりが持ってこられるまで続く。
ある女の子は飼い猫を殺して差し出した。
1988年
とあるテレビ番組で、霊能力者が、行方不明になった奈良県の小学2年生のAちゃんは「生きてもいなければ死んでもいない」とコメント。
1991年
カルト教団「スピリチュアルスペース」設立。
「赤い女」も入信しており、設立当初のメンバー。
1992年
A氏が家族とダム近くのキャンプ場を訪れる。
視線を感じたりラジオに謎の声が混じる、カレーの味がしない、子どもの鼻血など異変が次々と起こる。
翌日、展望台から山を望むと、数メートル級の白い人型の存在が木々の間から巨大な手で「おいでおいで」と招いていた。A氏が見入るうちに妻子は正気を失い、無表情で「行かなくちゃ」と歩き出すが、慌てて車に乗せて離れると記憶を失っていた。
1999年
「赤い女」の11歳の息子・了はいじめられおり、子供たちの「まっしろさん遊び」の身代わりにされ、公園の高い木で首を吊った。母親が半狂乱で助けようとしたものの救えず、事件は「自殺」と報道された。
母親はその後、お札を家や街中に貼りだすなど異常な行動を見せ、自宅は「お札屋敷」と呼ばれる。
母親はカルト教団「スピリチュアルスペース」で必死で修行し、高みへ行こうとしていたが、できないと泣いていた。
その後、「御神体石」を盗み、了を蘇らせようとするが、悪魔を召喚してしまう。
2000年
「赤い女」が首吊り自殺。怪異となる。
2002年
関西の名門私立R中学校の林間学校で奇妙な事件が発生。
夜、林に向かって「おいでーこっちにおいでーかきがあるよー」と棒読みの声が繰り返し聞こえ、生徒たちは恐怖でパニックに。先生が懐中電灯で林を照らすと、裸足で異様に大きな足が走り去ったのを目撃した。学校や警察からは不審者の痕跡は確認されなかった。
事件後、学級委員長の女子生徒が精神的に不安定になり、数か月後に自殺。
2004年
ダムへ肝試しに行ったカップルの彼女が、ましらさまに憑りつかれる。
2005年
バイク好きが愛読していたブログが突然記事削除され、残ったのは鍵付き記事「a」。
パスワードを解明し、ページを開くとツーリング写真から廃神社、人形だらけの祠、祠にお辞儀する男の後ろ姿が写っていた。
直後に「だめになってしまいました」という記事が出て、その後ブログは削除。
おそらく、ブログを見た相手が男性だったため、山へは誘われなかった模様。
2007年
ある小学校では「七不思議」ではなく「九不思議」が語られており、鏡に現れる校長先生の幽霊、夜に踊る人体模型、遅くまで残ると出る「ましろさん」、プールの白い手や勝手に鳴るピアノ、夢に出てくる女の絵、渡り廊下を飛ぶ生首、三分遅れる下校チャイム、そして「友達になろう」と誘う幽霊のあきおくんといった怪談が伝わっている。
さらに「学校の周りの怖い話」では、二階の窓まで飛び上がる女が母親に化けて現れ一家を失踪させる「ジャンプ女」、夕方五時に古い電話ボックスからつながる「あきとくん」に願いごとをした子どもが行方不明になる話などがある。
2008年
謎の「鳥居シール」が出現。
白い正方形のシールに描かれた鳥居と奇妙な人影、四隅には「女」の文字。
電柱や壁、廃屋など、街のあらゆる場所に貼られ、誰がいつ貼ったのかは不明。
熱中した人物が命を落とした例もあるという。
2009年
「ジャンプ女」が子供がいる家を狙って、家の中をのぞいているところを目撃される。
2010年
若手カメラマンBさんは、撮影すると「53枚目の写真」が必ず真っ黒になるという奇妙な現象に悩まされる。
Aさんが依頼して確認したときも「IMG_0053」は真っ暗で、Bさんは「黒いものが映る」と表現。
Bさんの過去の体験によれば、ダム取材中にロッカーから異様なフランス人形を見つけ、それを撮影したのが最初の「53枚目」だった。その後から毎回この現象が起こるようになった。Aさんが画像編集で「IMG_0053」を明るくすると、人の口の中(歯と舌)が画面いっぱいに映っていた。
Aさんはそれ以来「大きな口を開けた男に追われる夢」を見るようになり、呪われたのかもしれないと語る。
2011年
あるYouTuber「関西軍曹」が「赤い女」の家に侵入し、畳の下から石を持ち出す。「赤い女」に操られて、石を持ち出した可能性が高い。
2012年
都内大学の心理学学生は、卒業研究で「恐怖感情を他者に伝える際の身体表現」をテーマに、ホラー動画を使った実験を実施。
被験者50人のジェスチャーを分析する中で、2人だけが「霊感あり」と回答しており、部屋の隅を反射的に見る動作が共通していた。ホラー動画はネットで話題の「呪いの映像」で、幽霊マンションの5号棟で撮影された部分もあり、女性がジャンプするシーンと一致。
その後、学生の一人暮らしのマンションに、赤いコートを着た女性がベランダでジャンプするなどの怪現象が発生。下階住人からも騒音の苦情があり、学生は帰宅できなかった。
その後、有名なお寺の僧侶に相談。僧侶の助言でペットを飼い始め、メダカやエビを通じて守られながら生活。
その十数年後も、ハムスターやインコ、猫、犬を飼育しているが、みんな死んでいく。結婚しており、もうすぐ子供も生まれる・・
2014年
Aさんの母は穏やかでいつもニコニコしている女性。
一人暮らしをしていた70歳近くの頃、あるマンション5号棟に引っ越す。Aさんが訪ねると、母は長時間窓の外を眺め、「待ってる」とだけ言う。
ある日、飛び降り自殺があり、窓の下で四肢のねじれた人間が血だまりで痙攣しているのを見ても、母は平然と笑っていた。
後に知ったところでは、5号棟は自殺の名所で、住人ではなく遠方から来た人が飛び降りることが多かった。Aさんは、母が誰かが飛び降りるのを待っていたのだと確信する。
2015年
・あるYouTuberが赤い女の家に侵入する。畳がめくれ、何かがあった形跡があった。
・フリーランスのAさんは地方移住を検討し、ネットでリノベーション物件を探していた。検索中に、荒れた和室に赤いコートを着た女性が直立する不気味な画像を発見。後日、女性が両手を挙げている別の画像も表示され、文字化けしたテキストが添えられていた。
ある日、会社のコピー機から同じ女性の画像が印刷され、「見つけてくださってありがとうございます」と手書きで書かれた紙が出てきた。幼馴染が見ると、背景はAさんの実家の子ども部屋と一致していた。
2016年
・長野県に住む家族が「お世話になった方に会いに山に行く」と言い、夫が妻と娘をダムに突き落とす。
・Aさんは大学時代の彼氏と飲み会で「ましろさま」という遊びをした後、彼のSNSに必ず不審な無言アカウントから「いいね」が付くようになった。彼は次第に様子がおかしくなり、深夜にトイレで誰かに「ごめんなさい」と繰り返し謝っていた。
後日、Aさんがスマホを確認すると、そのアカウントに大量の「ごめんなさい」を送り続けていた。彼氏に髪を切られ「これで一旦大丈夫だから」「人形をお前にするから」とつぶやきながら髪をぬいぐるみに巻き付けて、彼氏は去っていった。以降、彼氏は行方不明。Aさんは「彼はいったい誰に謝っていたのか」と今も疑問を抱いている。
2017年
24歳エンジニアAさんは日課でアダルト動画サイトを見ていた。
ある動画のコメントに奇妙な誘い文句「お山へきませんか。かきもありますよ」を発見し、軽い気持ちで返信。その後、また同じ女優の動画のコメントに「なぜこない。まって居るずっと」住所も書かれており、Google Mapで調べると、小高い山の上にある古びた神社だった。
その後サイトに再訪すると、コメント欄にはただ一言「こしいれせよ」と残っていた。
「こしいれ(輿入れ)」とは嫁入りを意味する。
2020年
配信者がダムへ向かい、ましらさまに憑りつかれる。
このように、「ましらさま」「赤い女」「了」、そしてカルト教団が複雑に絡み合い、今もなお、奇怪な事件や現象を引き起こし続けています。
「近畿地方のある場所について」はどこで読める?
「近畿地方のある場所について」は、カクヨムで無料で読めます。
また、「オーディブル(Audible)」で聴くこともできます。
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