【小説】「紗央里ちゃんの家」のあらすじ、登場人物のネタバレ考察など。

第13回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した「紗央里ちゃんの家」

子供の怖い夢の話のような、不条理で、とにかく不気味な話。

登場人物みんな変です。そして、かなりグロい描写が多いので、苦手な人は注意!

そんな「紗央里ちゃんの家」のネタバレ考察をしてみました。

目次

「紗央里ちゃんの家」とは?

  • タイトル:紗央里ちゃんの家
  • ジャンル:ホラー
  • 著者:矢部嵩
  • 出版社:角川
  • 発売日:2006年10月31日
  • ホームページ:KADOKAWA

「紗央里ちゃんの家」のネタバレあらすじ

※注意:ネタバレ有

主人公は「僕」。

「僕」の家族は、お父さん、お母さん、そして受験生のお姉さんです。

毎年夏休みに、いとこの紗央里ちゃんの家に2泊3日するのが「僕」の家族の恒例行事でした。

紗央里ちゃんは中学2年生で、お父さんの妹(叔母)の娘です。

紗央里ちゃんの家族構成は、祖父母、叔母、叔父、そして紗央里ちゃんです。

今年はお姉さんが高校受験を控えているため、お母さんとお姉さんは不参加。

お父さんと「僕」だけが紗央里ちゃんの家を訪れます。

さらにその年、祖母が風邪で急死していました。

紗央里ちゃんの家に到着すると、叔母が血まみれで出迎えてくれます。

そして、家中が臭いのです。

叔母はとにかく異常で、食事は3食焼きそば(虫入り)、会話もどこかずれています。

そして、紗央里ちゃんは行方不明。

「僕」は不審に思いましたが、叔母に聞いても、「家出した」「大丈夫」と言い、気にしていない様子です。

その後、お風呂に入った「僕」は、脱衣所にある洗濯機の下に指を発見!

よく見ると、祖母の指です。

姉に電話で相談すると、警察に通報するようにアドバイスをされる「僕」

しかし、警察は「殺人自販機」の群れと戦っており、相手にしてもらえません。

仕方なく、「僕」は家の中で「死体探し」をすることに決めました。

叔母と叔父は目を開けて眠るのですが、本当に眠っているのか確認する「僕」。

ボールペンの先を2人の眼球の上で振り回し、耳元で「死ね死ね死ね死ね」と囁く。

反応がないので、2人が眠っていることを確認した「僕」は、叔父の仕事部屋や、紗央里ちゃんの部屋を探索します。

紗央里ちゃんの部屋に入ると、激しい異臭がしました。

その後、舌や歯、足、腸などを見つけます。

そして、祖母の頭は冷蔵庫にありました。

他の部位も冷蔵庫の中に・・・

そのとき、叔母に見つかってしまい、「僕」は包丁で左耳を切り落とされ、両手の爪は剥がれ、髪を抜かれ、掌には穴が針で突いたような穴が開けられてしまいます。

帰り道、父に「なぜ何も思わないのか」と責める「僕」

すると、父はブチ切れてしまい、「どうでもいい。俺には関係ない。お前が死んでも何も思わないの俺はおかしいのか?!」と怒鳴ります。

しばらくすると父は落ち着き、「ごめんね、大丈夫?」と言いました。

「僕は平気」「私も」

「ところでいつから車に乗ってたの?紗央里ちゃん」

紗央里ちゃんは「僕」と父が到着した日から、ずっと車に隠れていました。

そうしないと、叔母に殺されると思ったからです。

紗央里ちゃんは「僕」の家に泊まることになりました。

それ以来、紗央里ちゃんの家には行っていません。

「紗央里ちゃんの家」の考察

そもそも「僕」が見ている世界が現実なのか分からないほど、世界観がぼやけています。

読者はただ「理解不能な異常」を見せつけられるだけで、殺害の動機やみんなが変な理由などは一切説明されません。

家が呪われていて、みんながおかしくなったのかと思いきや、「僕」や姉、母もやはりおかしい。

しかし、語り手である「僕」が家に来たことで狂ってしまい、電話で話した姉や母の描写がおかしかったのかも知れません。(※姉の一人称が「俺」だった)

タイトルも「紗央里ちゃんの家」であることから、家が呪われている可能性が高いですね。

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